12:「塾に通わせているから安心」は、本当でしょうか?
「有名な塾に通わせているから安心」は、本当でしょうか?
先日、東洋経済オンラインに掲載されたある記事が、塾を経営する立場としても、一人の保護者の視点としても、深く考えさせられる内容でした。
東京大学と京都大学、それぞれに現役で合格した二人の大学生が、大手塾での経験を本音で語った対談記事です。
一人は、集団塾の授業についていけず、小学生のうちに中学受験そのものを諦めた経験を持つ京大生。
もう一人は、いわゆる「勝ち組ルート」を歩んで東大に合格した学生でした。
印象的だったのは、この東大生の告白です。
彼は塾で結果を出した側でありながら、なぜ伸びたのかを突き詰めると、授業そのもの以外の要因の方が大きかったと振り返っています。
集団授業はわかりやすく淀みなく進んでいく一方で、生徒が自分でつまずき、考え込む時間を奪ってしまう。
実際に彼が力をつけたのは、あえて映像授業を止めて自分で悶々と考える時間を作ったり、友人と授業内容について語り合ったりした、塾の外での時間だったといいます。
京大生の方も、集団塾を離れて自主学習に切り替えたことで、初めて「わからないまま机に向かう時間」が許されるようになり、成績が伸びていったと語っていました。
記事は、この背景にある力を「ネガティブ・ケイパビリティ」という概念で説明しています。
答えがすぐに出ない状況に耐え、問いを抱え続ける力のことです。
集団塾の標準的な仕組み――わからない問題はすぐに解説する、月例テストで結果を追う、質問には即答する――は効率的である一方、この「わからなさに耐える力」を育てる方向とは、少しずれてしまう構造を持っている。
そんな指摘でした。
22年間、教育現場で見てきたこととの重なり
この記事を読んで、私が公立小中学校で15年間教員として、また海外の教育現場で子どもたちと向き合ってきた実感と重なる部分が数多くありました。
みざいじゅくの「まなびデザインコース」で大切にしているのは、まさにこの「自己調整学習力」です。
80分の授業の中に、直接指導だけでなく、振り返りや次の学び方を一緒に考える時間を意図的に組み込んでいます。
1対1だからこそ、その子が「わからない」状態にいる時間を、無理に急かさずに見守ることができます。
大勢の中で足並みを揃える必要がないからこそ、「わかったふり」をせずに、本当につまずいている場所からやり直すことができるのです。
もちろん、テストの点数や成果も大切です。
ですが、それだけを追いかけると、記事が指摘するような対症療法に陥りかねません。
私たちが目指しているのは、目先の点数だけでなく、お子さんが将来、すぐには答えの出ない問題に向き合ったときに踏ん張れる力を育てることです。
「有名な塾に入れているから大丈夫」という安心感の先に、本当に必要な力が育っているか。
もし少しでも気になることがあれば、一度、無料相談でお話しさせてください。
お子さんの今の学びの状態を、一緒に確認するところから始めてみませんか。

なお、この記事をきっかけに考えたことは、noteの「塾長の頭の中」シリーズでも綴っています。あわせてご覧いただけると嬉しいです。
参考記事:神田直樹「京大生「塾を続けたら大学合格は無理だった」、東大生「二極化を拡大する装置」…現役生が本音で語る"有名塾=安心"の罠」東洋経済オンライン(2026年7月16日)
